「食事でかかる新型栄養失調」(小若順一・国光美佳著 三五館)という興味深い本があります。
 小若氏は「食品と暮らしの安全基金」という団体の代表として、ポストハーベスト農薬の全容解明など、食の安全を守る活動を長年行っていて、基金として毎月冊子を発行しているほか、「食べるな、危険!」など多数の著書を出されている方です。
 この本は、普段私たちの食べている様々な食品のミネラルが不足している事実を、コンビニ・持ち帰り・宅配弁当や外食、冷凍・加工食品、さらに厚労省の職員食堂の定食など31品目を専門機関で調査してもらい、そのすべてで主要なミネラルがかなり不足していて、こういったものを食べ続けるとカロリーは足りているが栄養が全く足りてない「新型栄養失調」になってしまう事を指摘しています。
 この調査ではカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅の5つを主要なミネラルとして計測していて、それらのミネラル含有量はほとんどの品目で厚労省の出す「推定平均必要量」、この食事を続けると半数の人が何らかの病気になる可能性がある、という最低限の基準ですら全然満たさないことが書かれてます。中にはカルシウムが1~2歳児が必要とする基準量より少ないものもあったそうです。これだけカルシウムが不足すると精神的に不安定になり、イライラしやすくなってしまいます。
 ミネラルは炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミンとともに五大栄養素の一つで、体の重要な構成要素であり、筋肉や神経、また精神の働きの調整に欠かせないものです。主要なミネラルの他にもマンガン、ヨウ素、クロム、セレンなどごく微量なミネラルも数十種類あって体にいろんな働きをしているそうです。
 そして、ミネラルが不足すると体がだるくなる、やる気がわかない、イライラする、神経過敏になる、骨が弱くなる、冷え、むくみ、貧血、生理不順、髪が薄くなる、心疾患、うつ病、糖尿病、認知症、などもっといろいろありますが多くの症状の原因になります。

ミネラルがこれほど不足する原因は様々な事が考えられます。

*白米や小麦粉、白砂糖、精製塩などミネラルやビタミン、食物繊維などを多く含んだ部分を精製して取り除いてしまっている。

*私たちがいつも使用、摂取しているサラダ油やてんぷら油、ラードなどはミネラルを完全に抜かれた精製油です。精製油を使うことで栄養のない高カロリーの油を摂取する事になります。
 また弁当や外食で食べる天ぷら、フライなどはほとんどこれらの油で揚げられているのですが、この時精製された揚げ油の中では、食材からのミネラルが油に溶け出してしまうので、おかずのメインになる揚げ物のミネラルが抜けてしまう事になります。

*野菜の栄養の低下は以前から指摘されてますが、これは化学肥料の使用、野菜が大量生産や効率のために品種改良された、流通の問題で早く収穫される、野菜工場やハウス栽培で旬でない野菜を食べること、用水路がコンクリで整備されて農業用水に含まれるミネラルが減少したなどの理由があるそうです。

*純水の使用。ジュースやビール、スーパーの持ち帰りの水、さらに家庭用の純水製造装置などミネラルを取り除かれた純水を飲むことが増えています。
 純水を飲むと体内のミネラルのバランスを崩したり、また本来水に含まれているはずのさまざまな微量のミネラルは、心身の調整に関係がありますが、純水ではそれらが取り除かれている、などの問題が指摘されているので、純水はあまり飲まないほうがいいそうです。

*家庭でダシを使うときに化学調味料を多く含み、ミネラルが少ない「ほんだし」がよく使われている事も影響しています。また家庭でダシをとっていてもカツオ節でとっていた場合、味はおいしくなるけどミネラルはあまり取れないそうなので、昆布や煮干しを主に使ったほうが良いということです。

*水煮食品の増加。水煮食品は中国などの製造費が安い国でニンジン、イモ類、キノコ、タケノコ、豆類などを水で煮てパック・冷凍されたもので、これが海外で加工されたり、輸入されて多くの食品に使われています。水煮と洗浄を何度か行うので栄養素が抜けてしまっているという事です。
 この水煮食品がコンビニ・スーパー・持ち帰りの弁当や企業・病院の給食、外食産業・チェーン展開されたレストランや居酒屋で多く使われ、そして冷凍食品やレトルト食品の中身にも使われています。このミネラルやビタミンの抜けた水煮の食品と、通常の家庭で調理する時の野菜などを同じものとして栄養の計算がされるので、ミネラルの不足が見落とされるようになっています。
 最近は食べるものが安くなっているなんて言いますが、安い理由の一つはこういう栄養のない食材で作っているからでしょう。

*食品添加物リン酸塩の使用。リン酸塩は水煮食品を保存するために使われます。ほかにもカビ抑制、変色防止、成形肉の結着力向上、肉・魚の増量などの用途のため幅広く使われています。
 リン酸塩は毒性が低く、体内に吸収されにくいものとされて大量に使われていますが、胃の中でミネラルと結合して体外に運び出してしまいます。この時、特に影響を受けやすいのが、心身の働きを調整するのに重要な微量のミネラルだそうです。
 リン酸塩は食品の原材料表示に「リン酸塩」「ポリリン酸NA]「メタリン酸Na」「ピロリン酸Na」などと表示されていますが、そのほかにPH調整剤、調味料、かんすい、膨張剤、ベーキングパウダー、イーストフード、乳化剤、などと表示されているものにも入っているので注意が必要です。
 これらの添加物はあらゆる食品の原材料表示に見られるので、現代人のミネラル不足の大きな原因と考えられます。さらにミネラル不足の原因となるばかりでなく、体に悪影響を与えるものも多いので、なるべくリン酸塩等を含む添加物の少ない食品を選んだほうが良いです。

 (次回へ続く)
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