(前回からの続き)

 嫉妬、憎しみ、自信のなさなど、心に自然と浮かんでくるネガティブな「思考」を否定して、理想の自分になろうと苦闘することは、いつまでも続く葛藤・悩みをもたらします。
 また、ありのままの思考の自己中心的な感情、暴力的なもの、欲深さなどを肯定した世界の中で、思いやりなく生きることも望ましいことではないでしょう。利己的・暴力的な心を肯定して生きることは、自らに苦しみをもたらすはずです。
 多くの人は、実際のところ、自然に起きる思考・感情と自分の意識の間のバランスをとりながら生きていますが、このことで悩んでいる人が多いのも事実だと思います。
 思考を肯定・否定することは、どちらにしてもありのままのネガティブさを心の中に蓄積させて、強めてしまう結果をもたらします。
 思考に対して内言で、「ネガティブだ・暴力的だ」などと言ってしまうと、思考は実際にネガティブなものとなって定着し、心を乱します。ですから、思考を勝手にネガティブなものにしているのは、私たち自身と言えるのかもしれません。
 また、欲深い心を肯定するのはもちろん欲深いことです。でも欲深さを否定して、欲深くない「私」になろうと欲する意識も、ある意味、欲深いと言えます。
 同じように、暴力的な思考を肯定することは暴力ですが、暴力的な心を非暴力の理想で否定し、排除しようとすることも、実際は、暴力的な行いではないでしょうか。
 無欲や非暴力といった理想を「私」が掲げて、ありのままのものに押しつけても問題は解決しません。

 常に「ああしろ」「こうしよう」「それはいい・ダメ」という内言を発している私たちの意識は、思考を区別して否定・肯定することしかできません。
 この理想と現実の葛藤、また自己中心性の克服のために私たちが行えることはどういったことでしょうか。
 そのために必要なのは、ネガティブな思考を否定・肯定する「私」という意識なく、「思考」に直接向き合うことだと思います。
 まず、内言で「ああすべき」「自分はこれでいい」と言うことを止めて、黙ってみることから始めてみます。そうすると、心の中には自然と浮かんでくるあるがままの思考だけがある状態になるはずです。
 いつも「私」にあれこれ言われてきた思考をただ見つめて、それの動くままにさせます。
 これは、思考を肯定するということではなく、暴力的だったり、嫉妬していたり、自信がなかったりする心の状態に、何もせずにとどまるということです。そして、思考が語ることを聞くようにします。
 そうやって意識的な言葉(内言)なく心に向き合えば、ネガティブな(と考えられてきた)ものが生まれてきた原因が見えてくるようになるはずです。
 この原因をただ知るということに大切な意味があると思います。
 たいていは、「原因が分ったら対策を」と私たちの意識はすぐ考えがちですが、そうするのは、再び否定と葛藤を繰り返すことにつながります。大切なのは、判断・対策などの自分の考えではありません。
 あるがままの感情にこちらから干渉せず、それがどのように動くか観察すれば、その感情の持つエネルギーは自然と解消されてくようになります。そうすると、ネガティブな思考が心に根付いてしまうことはなくなるでしょう。私たちにできるのは、その動きをただ見守ることだけです。
 

 これほど簡単に心の問題が割り切られて解決されることは、実際には難しいと思います。
 私も思考と理想の葛藤を持って悩むことは今でも多いですし、自己中心性を片付けた人間であるとは全くいえません。
 しかし、思考を内言なくただ見つめることは、とても効果のあるネガティブな思考の克服法です。これは普通それしかないと考えられる、思考の否定・肯定という方法を超えたものだといえます。私自身、思考をそのままに知ることで、悩みや自己中心性に陥らずにいられたことはたくさんあると思っています。

 自らのコントロールできない感情や利己的なものに悩む人は、これを行ってどうなるか観察してみることをお勧めします。
 意識がおしゃべりすることを止めて、思考が片づけられ、ネガティブなものが重くのしかからなければ、心はシンプルになってきます。
 「私」という限られた意識から解放されるほど、今まで気づかなかった周りの世界のさまざまなことが見えてくるはずです。「私」なしに物事を見ることができれば、それだけ心に喜びがたくさん訪れると思います。

(こうは言っても私の心はいつも言葉でいっぱいですが) 
 
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