先月7月7・8日にNHKのBSで放送された シリーズ・人を科学する「あなたの中のミクロの世界」というドキュメンタリー番組を見ました。
 この番組はオーストラリアとフランスのテレビ局が共同制作したもので、ヒトの体にどれだけ多くの微生物が住み、それらがどのように私たちの生活・健康に関係しているか、ということを教えてくれるものでした。
 その内容がとても興味深いものだったので、今回の記事では番組で取りあげられた、私たちと共に暮らす微生物の働きについて紹介してみたいと思います。
 本当は盛りだくさんだった全2話の内容を見てもらうのが一番なのですが(怪獣のような寄生虫の拡大映像は本当にすごかったです)、その面白さが少しでも伝わるように書いてみるつもりです。
 面白い番組だったので再放送されることがあるかもしれません。


 虫が大嫌いという人が聞けば気を失ってしまそうな話ですが、私たちの体の内外には、生態がよくわかっていない無数の微生物が住み着いています。
 その数は私たちの体を作っている細胞の数の約10倍だそうです。それらはマイクロバイオーム(微生物叢)と呼ばれ、私たちの体の大切な構成物質になっています。
 体に住む微生物は敵ではなく、私たちにとって必要なもので、健康を保つ働きをしたり、病原体の侵入を防いだりしてくれています。もしそれらがいなくなれば私たちも死んでしまうそうです。
 外からの敵に対して、微生物は免疫系よりも早く対応しているということです。皮膚には枯草菌や表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌が生息して、他の細菌をやっつけ繁殖できないようにしています。これらの菌がいなくなってしまうと、体がカビだらけになってしまうことがあるそうです。 
 皮膚1c㎡に10億の細菌が存在して、はがれた皮膚をエサにしながら外敵の侵入を防いだり、皮膚にバリアーを作って肌の潤いを守ったりしてくれています。 

 顔の毛穴には何万という顔ダニが住んでいます。
 これは何とも気持ち悪い話に聞こえますが、顔ダニは私たちの顔から出る余分な皮脂を食べて生活しているので、もし顔ダニがいなかったら、私たちの顔は脂でドロドロになってしまうそうです。
 
 口の中にも細菌が多く、唾液一滴の中に700種1億以上の細菌がいるほどで、口内に一つの生態系を作り上げています。
 これらの口内細菌は、私たちが食べる物の酸によって(ほとんどの食べ物は基本的に酸性)歯が溶けるのを防いでくれます。
 しかし、炭水化物や甘いものを食べ過ぎると口内の酸性度が上がり、善玉菌が少なくなってしまいます。その結果、口内細菌の多様性が失われて、虫歯菌などの悪玉菌が増え、虫歯になりやすくなります。

 このドキュメンタリー番組ではアメリカのある研究機関が行う「へその生物多様性プロジェクト」というものも紹介されました。
 へそは石鹸で良く洗われたりしないので、微生物が殺されずに残っています。そして、常に覆い隠され環境が安定しているので、たくさんの生物にあふれているそうです。
 その種類は細菌から古細菌、原生生物、菌類とさまざまで、深海の熱水噴出孔に住むと考えられるものや未知の生物まで見つかったりします。
 調査に協力してくれた60人のへそを調べてみると、合わせて2300種の生物がすんでいることが分かり、驚くことに60人の中に共通して見つかった細菌はありませんでした。
 へその細菌の種類は、人の個体識別ができるほどに違い、それぞれの人が持つ細菌の数は数百から数種類と差がありました。種類が少ない人と多い人の健康状態を調べると、種類の少ない人の方が健康状態が悪く病気にかかりやすいという傾向があるということです。

 ヒトの体は、多くの生物が依存しあって調和を保つ一つの生態系になっています。
 目には見えませんが体のあらゆるところに、植物が生息して、それを食べる生き物がいます。そして、それをさらに食べる生き物がいるというように生態系が存在し、肉食生物から草食のもの、寄生生物、植物、菌類、ウィルスとなんでもござれでとても賑やかな世界ということのようです。
 特に頭髪の中は、日よけになっていて湿気があり、栄養が豊富なので熱帯雨林のような生物の多様性にとんだ場所だそうです。

 ヒトの皮膚には一兆の細菌がいると言われますが、腸内には百兆以上の腸内細菌が生息しています。
 ヒトは母親のお腹の中にいる胎児の段階では腸内も含めて無菌ですが、生まれてくるとさまざまな微生物にさらされるようになります。
(番組に登場した専門家は「生まれる前には私たちの体は私たち自身のものだが、生まれた後の体は私たちのものではなく、厳密にいうと体と微生物が合わさったものである」ということを述べていました)
 赤ちゃんの腸内細菌は母乳を通じてもたらされます。母乳には何百種類の細菌が含まれ、赤ちゃんの腸内環境を作り上げる役割をするそうです。
 腸内細菌は私たちの健康に欠かせないもので、消化を助ける、栄養素を作る、免疫力を高めるなどたくさんの働きをしています。
その種類は善玉菌と日和見菌、悪玉菌とありますが、赤ちゃんの腸内は悪玉菌が少ないとても良い環境になっています。
 しかし、大人になるにつれ、肉やジャンクフードの食べ過ぎ、腸内細菌を殺してしまう抗生物質を飲む、過剰なストレス受ける、といったことによって腸内環境は悪玉菌の多い状態になってしまいます。

 最近はクローン病や潰瘍性腸疾患などの治療が難しい腸の病気が増えています。これらの病気の原因ははっきりとは分かっていませんが、腸内の善玉菌が少なくなることもその一因になっているようです。
 これらの消化器系疾患を治療するために、健康な他人の便を患者の腸内に入れる「便微生物移植」という方法が番組で紹介されました。
 健康な人の便には善玉菌が多く含まれているので、それを(たぶんなんらかの処理をしたものでしょうが)直接患者の腸内に入れることで腸内環境が改善され、消化器系疾患が良くなっていくということです。そして腸とは関係のない多発性硬化症などの病気も、(その理由がなぜかは分からないけれど)改善した例が紹介されました。
 聞くだけで驚かされ抵抗感が起きてしまう直接的な方法ですが、難病に指定されるほどのこれらの病気に苦しむ人は少しでも良くなろうと、この治療を受けるそうです。(費用が高いため、自宅で非合法に行う人もいる)
 そして、その効果はかなり高いということです。

 (次回に続きます)



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