(前回からの続き 先月の7、8日にNHKBSで放送された「あなたの中のミクロの世界」というドキュメンタリー番組の内容を紹介してます)


 ピロリ菌は胃の中に生息して、胃潰瘍や胃ガンを引き起こすものとされています。ですからピロリ菌の保菌者は、抗生物質を飲んで菌を取り除くことが推奨されています。
 しかし、欧米ではピロリ菌の排除が、喘息などのアレルギー疾患を引き起こすと考えられてきているそうです。
 胃潰瘍、アレルギーどちらになるのも嫌なことですが、発展途上国では多くの人がピロリ菌を持っているのに、胃潰瘍になる人は少ないということがあります。その理由を専門家が調べてみると、ピロリ菌を持っていたとしても、お腹の中に寄生虫がいれば、ピロリ菌が胃潰瘍を引き起こすことは無いということが分かりました。
 私たちは、寄生虫など百害あって一利なしと排除してきましたが、このピロリ菌と寄生虫の関係を考えると、寄生虫も私たちの体の欠かせない構成要素だったということなのかもしれません。
 寄生虫がいると体内の過剰な免疫反応を抑制して、アレルギーを防ぐということも紹介されました。
 そのためアレルギーに苦しむ患者には、寄生虫をわざと体内に入れて(鉤虫という寄生虫を50匹ほど肌から入れると血液の中に入ってほとんどが腸内に到達する)、アレルギーを治療している人がいるということです。すべてのアレルギーに効果があるということではないみたいですが、良くなるものもあるみたいです。

 冷たい水に触れると手が真っ白になる病気レイノー病が、エム・バッキーというハンセン病のワクチンとして使われる予定だった細菌を注射したら完治した、という話もありました。
 エム・バッキーはアフリカで見つかった細菌で、これを注射することでレイノー病のほかに、ガンやうつ病、乾癬も治ったりしたそうです。
 細菌というと食中毒を起こす大腸菌や、結核菌、破傷風菌などの病原菌を思い浮かべやすく、細菌=悪と私たちは考えがちなのではないでしょうか。
 そのため、身の回りから細菌を排除することを多くしてきました。しかし、こうすることによって、私たちの身の回りに昔からあったエム・バッキーのような有用な細菌も殺していたのではないか、ということが指摘されていました。
 体の免疫系というのは、細菌を殺すためにあると今まで考えられてきたけど、実際は細菌によってコントロールされている、と最近の研究では言われてきているそうです。
 不潔な環境がいいという事ではありませんが、除菌・抗菌と身の周りから細菌を無くすことばかりしていると、必要な細菌までいなくなってしまうようになります。
 私たちは体から悪い細菌・微生物を排除すれば健康になれると考えていますが、良い細菌が減って病気になっているという見方もしなければならないそうです。
 したがって、ふだんから多くの細菌に触れる機会を持つことが必要と言えるのではないでしょうか。
 例えば、赤ちゃんがいろんなものをなめること、子どもの外遊びや泥遊び、動物や昆虫に触れること、畑仕事や園芸、森林浴、スキンシップ、銭湯・温泉に入る、といったことは多様な細菌に触れるという見方からも勧められることなのでしょう。
 今は銭湯に行くということは少なくなりましたが、銭湯に入ることは他の人との細菌の交換を行って、体の細菌の多様性を作る効果もあったのではと私は思います。

 この「あなたの中のミクロの世界」という番組では、ここまで書いてきたことのほかにも、レトロウイルスというDNAに入り込み自らを自動的に複製させようとするウィルスの痕跡がヒトのDNAの8%に見られるという話や、わきの下に生息して無臭の汗からある働きを持つにおいを作る微生物、ヒトに入り込み感情のコントロールすると言われる寄生虫、人喰いバクテリアの恐怖、などのたくさんの興味深いことが紹介されました。
 そして、番組制作者の言いたかったのは、恐ろしい病原体や寄生虫なども存在するけれど、私たちの体は私たちだけのものではなく膨大な数の微生物と一緒に成り立っているということ、そして地球の生態系と同じようにヒトの体に住む微生物にも多様性が必要だということだと思います。
 現代人は過剰な清潔志向からボディソープ(皮膚の常在菌をほとんど殺してしまう)や消毒液、抗菌グッズといったものを使っていますが、そういったことが行き過ぎると身の回りの微生物が減ってしまいます。そして、微生物の多様性が失われると生き残るのは悪玉菌です。つまりその過剰な清潔志向が私たちの免疫力を低下させ、健康にとって良くないということにつながっていると思います。
 ヒトも結局は動物なのだから、なるべく自然に近い環境にいる方が体も微生物も正しく働いてくれるのでしょう。


 しかし、いくら微生物がいろんなことしてくれているといっても、目に見えないのでなかなか実感が湧きづらいところがあります。 
 実際に電子顕微鏡でその姿を見たりすれば、気持ちも劇的に変わって微生物の有難みが分かったりするのでしょうか?
 でも、あまりにリアルすぎるものは見ないでいた方がいいのかもしれませんね。



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