2ヶ月ほど前にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が大筋合意しました。
 数年前にTPP協議参加を議論しているときから、関税が自由化したら農業が壊滅的な打撃を受ける、と農家の人は反対していました。(その頃野党だった自民党も「断固反対」と言っていた)
 しかし, TPPに入った方が工業製品の輸出等につながり国益にかなうとして、2013年に参加することを安倍政権が決め、その後加盟各国の協議が続けられて合意に至りました。
 日本政府は農産物の主要5品目を保護することは出来たとしましたが、ほかの農水産物は早いうちに関税がゼロになるのでその影響が大きい、と農家は反発しています。これについては安倍総理が「農林水産業はしっかり守る」として、国民人気の高い小泉進次郎議員を農林部会長に任命して農家の説得にあたらせ、さまざまな保護策も検討しているようです。
 TPPについてのマスコミの論調は、危機に立たされる農業は国が多少援助しなければならないが、輸出が増えたり、外国から安い食品・製品が入ってきたりするので、メリットの方が上回り全体としてはTPPは歓迎すべきものだ、ということになっているみたいです。

 私の住んでいるところは農村地帯ですが、TPPによって農業が一気にダメになるなんていうことはちょっと想像がつきません。実際にそういうことが起きるのでしょうか?
 まあ、安い外国の食品・農産物が入ってきても安全性に疑問があるので、どちらかといえば国産のものを買うだろうし、土地のある田舎は家庭菜園で野菜を作るという手もあります。
 経済が活性化するといっても、潤うのは大企業ばかりだろうし、庶民にはそのおこぼれが少しははあるかどうか、といった感じだろうから全く期待はしていません。
 ですから、私のTPPに関する知識感想は「自分の生活にはあまり影響がないだろう」といった程度で、ほとんど関心を持ってきませんでした。
 そして、たいていの人もこんな風に感じているのではないでしょうか。


 しかし、2週間ほど前にMXテレビで放送された「バラいろダンディ 木曜日」で、認知科学者の苫米地英人さんが、TPPの問題点について私が今まで聞いたことのない解説をしているのを見ました。
 それによると、TPPは「関税自由化」「農業VS工業」「農業の今後」といったとらえ方をされがちですが、TPPにはこれら以上に重大な問題が隠されていて、TPPの本当の狙いはそちらにある。
 TPPを推し進めたのは、それによって莫大な利益を得ようとしている多国籍企業・外国人投資家で、このとんでもない条約で日本は壊滅的な被害を受ける、と苫米地さんは短い時間で分かりやすく説明されていました。
 TPPは関税の自由化ということだけでなく、著作権・公共事業・金融といった多くの分野についての取り決めですが、一番の問題はISD条項というものだそうです。
 ISD条項は、投資家・企業と国家の争いを解決するために設けられたものです。これは当初、法整備が未発達な発展途上国と企業の争いを調停するために作られました。
 しかし、近年、このISD条項を使って、投資家・企業が自分たちに不利だと思う他国の制度や法律を「不当な差別である」と裁判に訴え、巨額の賠償金を得ることが多くなっています。
 この条項では、投資家・企業などが国家を「国際投資紛争解決センター(ICSID)」というところに訴えることが出来ます。
 このICSIDは、アメリカが実権を握っている世界銀行の傘下の組織で、常にアメリカに有利な判決を下すところだそうです。(アメリカ企業は、アメリカとISD条項を含む貿易協定を結んだカナダ・メキシコに対して不合理な訴訟を何十件と起こして裁判で負けたことはなく、多額の賠償金を得ています。一方、アメリカが訴えられて負けたことはありません)
 この審理はワシントンDCで非公開に行われ、控訴もできないものです。
 ここに日本政府や地方自治体が訴えられると、裁判費用だけで年間数億円かかってしまいます。そして、裁判に負けると何十億円以上という巨額の賠償が課された上に、法律や制度の変更を迫られるという、まさに国の主権を奪われるようなことが起こる可能性があります。
 TPPは多国籍企業が莫大な金をもうけ、脅し取るために作られたもので(もちろん大きなターゲットは日本)、日本の憲法や法律より上位に位置づけられるものであり、TPPが始まってしまえば国や都道府県、政府系企業はさまざまなことで多国籍企業・外国人投資家に訴えられて破産する、とまで苫米地さんは言っていました。(苫米地英人さんは、ご存知の人も多いと思いますが、幅広いさまざまな分野で活躍されている、ちょっと他に比べる人がないような才人です。日本のアンタッチャブルな存在である電通を批判をするような骨のあるところに私は好感を持っています)
 TPPは1000ページもの長い条文にされています。
 これは通常の条約ではありえない量で、そこには関税についてのことなどはあまり書かれてなく、いかに多国籍企業を活動しやすくするか、各国政府の権限を制限するか、が内容の中心だそうです。
 附則の文書にターゲットと考えられる都道府県、政府系企業の名前がズラリと書かれているのが怖いです。
 こうったものを見ればTPPはISD訴訟を仕掛けるために作られたものにしか見えなくなりますが、最近日本政府が出した日本語のTPP概要には、原文に執拗に書かれているISD条項に関するところに何も触れていません。



 苫米地さんの話があまりに衝撃的だったので、TPPについて少し調べてみると、この問題は参加するしない、と言っている頃から懸念されていたことだったみたいです。
 こんな国の存亡にかかわる問題について、なぜ今まで全然知らなかったのだろう、と私は恥ずかしくなってしまいました。でも、ISD条項についてはマスコミでそれほど取り上げられてこなかったので、世間の多くの人は私同様知らないのではないでしょうか。(民主党政権のときの国会答弁で野田総理も知らない、と言ったそうです)
 国の主権がなくなりかねない、と誰もが騒ぐであろうこの問題が、マスコミで一向に取り上げられないのは、テレビの民放各局は大株主の外国資本に乗っ取られ、新聞はTPP賛成の大企業から広告をもらっているからでしょう。これにアメリカの言いなりの政府・官僚も加わって本質を知らせず、TPPを進めてしまおうという魂胆なのだと思います。



 多国籍企業が変えたいと思っている日本のルールは次のようなものがあります。

 <食品の安全基準> 添加物・残留農薬の規制や、食品の添加物・原産地・遺伝子組み換えの表記義務が、非関税障壁(貿易の自由を妨げるもの)だとアメリカの食品会社がISD訴訟に訴える可能性がある。今は食品に義務付けられている遺伝子組み換えの表記が廃止されると、遺伝子組み換え食品が大量に出回るようになると予想されます。

 <医療制度> 当初から根強くあった、日本の国民皆保険制度が壊される、という心配は今のところ大丈夫みたいですが、日本の薬の価格が不当に低い、と薬の価格決定の仕組みの変更を要求されることがあるかもしれない、ということです。
 すでにTPPの取り決めで安価なジェネリック医薬品使用に今より制限が加えられたようですが、薬の価格が上昇すると国民皆保険制度の赤字が大きくなり、制度を支えられなくなってしまいます。そして、そこからアメリカ企業の望む、高額な混合診療の解禁、民間の医療保険の導入、株式会社の病院経営参入、といったことにつながっていく可能性がある、と言われています。

 <自動車制度> 現在の日本の安全基準を満たさない外国車でも、その国の安全基準を満たしていれば販売できるように制度変更を求められたり、軽自動車やエコカーが優遇されていることが非関税障壁であると訴えられる可能性があります。

 <ゆうちょ・簡保・農協共済など> これらの貯蓄や保険が民間に比べて不当に優遇されていると批判し、さらにそのお金が日本国内だけで運用されているのでは自分たちの儲けにならない、と海外に投資できる仕組みに変更させようとする。(もうそうなっているんでしたっけ?)

 ここまで挙げてきたことは、今までにもいろいろと変更させられてきたことだけど、ISD訴訟を使って「自由貿易の原則に反する」とさらに大きなルール変更を迫り、巨額の賠償金を得ようとしているのでは、と懸念されています。
 またTPPの長い条文が複雑でさまざまに解釈できることから、政府・都道府県がいろいろと予想もしないことで訴えられる可能性があって、日本のことを私たちで決められなくなってしまいます。
 例えば、今政府が農家へのTPP対策として所得保証を検討していますが、これも自由な競争を妨げる非関税障壁としてISDで訴えられる可能性があるそうですし、ほかにも地方の自治体が農産物の地産地消を推進するようなことを言ってもダメになったり、公共事業も外国に解放されて英語でも募集するようになる、といったことでさまざまなトラブルが起きるのが予想されます。
 また、現在マイナンバー制度が始まりましたが、これもTPPがもっと前に始められていたとしたら、マイナンバーのシステム構築を日本の企業だけが受注できるのはおかしい、とISDで巨額の賠償とともに訴えられる案件になる、ということを苫米地さんは言っていました。



 (次回に続きます)



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