(前回からの続き)

 TPP に賛成する人は、ISD条項は今まで日本が締結してきた他の国との貿易協定にも入っている。だから、アメリカ企業が日本を訴えようと思えば、その第三国を経由して訴えられることも出来たのだからISDで訴えられる心配をする必要はない。ISD条項は、法の整備が進んでいない発展途上国と企業のトラブルを解決するためのものだから、日本には関係ない話だ、ということを言います。
 しかし、人を陥れようとするためにしか見えないあの膨大な条文(すべて読む人はどれ位いるのでしょうか?)と、ISDで訴えを連発されているカナダやメキシコの例(常識では考えられない訴えや、環境汚染を防止するような法律・司法判断でさえも覆して巨額の賠償金を得ている)、さらにアメリカとISD条項の入ったFTA(自由貿易協定)を2012年に締結した韓国の例を見れば、ISD訴訟による問題が日本に起こらない、と考える方に無理があると思います。

 米韓FTA締結後、韓国ではISD訴訟を避けるため63本もの国内法の改正が行われました。
 地方の自治体が、ISD訴訟を恐れて農産物の地産地消を奨励する条例を変えた、ということもあったそうです。
 また、環境対策として行う予定だった自動車の排ガス規制が、アメリカ車の販売に影響を与える、ということで取りやめになりました。(もし導入していたら非関税障壁だとISDで訴えられる)そして、逆にアメリカ車に有利なように大型車の減税が導入されたりしたということです。
 最近では、米韓FTAで初めてのISD訴訟として、韓国政府がアメリカ系投資ファンド・ローンスターに訴えられました。これはローンスターが韓国の銀行の株式を売却しようとした際に、韓国政府が承認をわざと遅らせたため1800億円の損害を被った、そしてその株式売却で得た利益への課税も不当だ、として5000億円(!)近い賠償請求をしたというものです。
 訴訟の結果はまだ分からないようですが、裁判がアメリカ寄りになっているといわれる通りローンスターが勝ち、多額の賠償金を得るとなると、本当に国を破滅に導きかねないことになってしまいます。

 米韓FTAには、ISD条項のほかにもひどい取り決めがたくさんあります。
 一度自由化した制度は後戻りできないとする「ラチェット条項」(例えばアメリカでBSEの牛が発見されたとしても、韓国は輸入停止の措置をとることができない)
 韓国が協定に違反していなくても、アメリカ企業が思うように利益を上げられなかった場合に韓国政府を訴えることができる、という言いがかり以外の何物でもない「非違反提訴」
 そのほかにも「サービス業の非設立権」「最恵国待遇」といった韓国に不利になる条項が数多く含まれた不平等な協定になっています。
 また、外国病院の開設、郵便局の生命保険や年金保険への介入、また関税の自由化で畜産業の廃業が増えた、といったTPPで日本に懸念されているようなことも実際に起きています。
 こうなると、韓国はFTAで国の主権を奪われた、と言ってもいいのではないでしょうか。

 米韓FTAから比べればTPPのほうが少しはましかもしれませんが、ISD条項が入っているし、一度発効してしまえば永久に後戻りできないのは同じでしょう。
 つまり、TPP以降は日本が、外国人投資家の意に反することは決められない国になる、もっと言えば金もうけのことしか考えない人間の言いなりの国になる、ということです。
 また、TPP発効の7年後には再協議することが決められていて、そのときに今回守ることができたとされる農産物5品目の開放を再び迫られるだろうし、さらなる要求もされるのは容易に想像できます。


 TPP条約は日本の憲法・法律の上位に位置するものになりますが、アメリカの場合はTPPはアメリカの法より下にくるということです。(だんだん書くのもバカらしくなってしまいます)
 しかし、そのアメリカでもいくつかの理由からTPPへの反対が強まっています。
 多くのアメリカ人も日本人と同じように、TPPは多国籍企業・投資家の利益になるだけと考え、自分たちを守る法律をいいように変えられてしまう、安全基準がいいかげんな国からの食品輸入が増えてしまう、外国からの労働者が増えて自分たちの仕事が奪われる、ということを心配しているようです。
 一方で多国籍企業も、条約成立のためにアメリカ政府がいろいろと譲歩したため自分たちの思うような利益が得られない、と反対しているということです。
 次期大統領候補の多くも反対を表明していますし、このまますんなりと議会で承認される見通しはないと報道されています。
 TPPが発効されるためにはアメリカと日本の承認は最低条件なので、TPPをゴリ押ししていたアメリカでもめて承認されずに終わり、ご破算ということになればいいのに、と本気に思ってしまいます。



 テレビにTPP 反対派の人が出演するする際には、ISD条項について触れないように言われるそうです。
 TPP で莫大な利益を得たい外国人投資家や大企業は、是が非でもTPPを推し進めるために、国民に一番知られたくない問題ISD条項について隠しておきたいのでしょう。
 そのため自分たち(大株主・広告のスポンサー)に従順なテレビや新聞などのメディアを操ってISD条項には触れさせず、TPPを「農業の問題」「農業VS工業」といったことのみの限定した問題、と国民に思わせようとしています。(もちろん農業の衰退も重要事ですが)そして、大筋合意しただけで国会の承認手続きがまだ残っているTPPを、さも決定したかのように扱っています。こうやってメディアコントロール、世論の誘導を行っているのでしょう。
 アメリカや大企業の言いなりである政府官僚・マスコミは、TPPで日本が多国籍企業・外国人投資家に乗っ取られても構わない、自分たちには関係ない、と思っているのかもしません。
 結局、日本や韓国、アメリカ、そのほかの国にしても利益を得るのはごく一部だけで(マスコミも役人もそのおこぼれをもらう側です)、大多数の人々にとって良いところなど全くなく、かえって生活が貧しくなる、というのがTPPの本質だと思います。
 しかし、TPPの承認がアメリカでも困難になっているように、日本だってどうなるかまだ分からないはずです。農家の反発が強いため来年の参院選前の承認は避けるといった話や、ISDなどの問題が大きくならないうちに年明けの通常国会でさっさと承認してしまおう、という話などがあるようです。
 どちらにしても農業問題に加えて、医師会の懸念もあるだろうし、食品安全の心配から消費者団体も黙ってはいないだろうからそれほど簡単にはいかないのではないでしょうか。
 

 今回の記事は、国の決定をねじ曲げ、巨額の金をむしり取るためにあるISD条項の危険性についてお伝えして、TPPの問題に関心を持ってもらえたら、と思い書きました。少しでも多くの人が知ることは、数の力で押し切らせないことにつながると思います。
 今年は残念ながら法案は通ってしまいましたが、安保反対の声が大きく上がった年でもありました。
 安保の問題は、政権が代わればまた変えることも可能ですが、TPPは動き出したら止めることが不可能になってしまいます。この問題は子々孫々まで日本を苦しめかねないものですから、安保のときよりも大きな声で反対すべきなのではと思います。

 TPP発効のためにはアメリカと日本の承認に加え、カナダ・メキシコなどいくつかの国の承認もあわせて必要です。(カナダではTPP賛成の政権が選挙で負けました)
 だから、まだ多国籍企業・外国人投資家のための条約TPPを止めることは可能なのだと思います。だいたい、影響を受ける人たちに交渉過程を何も知らさずに協議して、それを修正できもしないで承認するだなんておかしすぎるでしょう。
 TPPで経済が活性化する、なんていうマスコミの言うことに淡い期待などせず、この問題は私たちの生活基盤・財産を奪われるという緊急の問題だと考えるべきです。
 日本ではもう決定という空気になっていますが、まだまだこれから反対の声を届けられるはずですので、今からでもネットや関連書籍でいろいろと調べてみることをお勧めします。
 私たちの生活が、金もうけのことしか考えていない人間のためのものになるなんて考えたくもありません。



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