現代はパソコン・スマホで文章を綴ることが生活の一部になっているため、字を手書きする機会は減ってきていると思います。
 しかし、手書きすることには、タイピングにないさまざまな長所があるということが言われています。アメリカのいくつかの大学の調査では、手書きでノートをとる学生のほうが理解力が高く、成績も良いという結果がでたということです。そして、手で書いて覚えようとすると長く記憶できるそうです。(学生時代に英単語を何度も書いて暗記した人は多いと思います)
 また手書きすると、考えがまとまりやすくなる、発想がよく湧くようになる、といったことも言われます。
 漢字なんかも変換せずに自分で書くようにすれば、「読めるけど書けない」なんてことも少なくなるでしょう。
 そして、タイピングするよりも手書きのほうが、脳の広い領域を使うため、脳を活性化させる働きは高いはずです。
 さらに手書きだと、気持ちが伝わる、省エネになる、目に優しい等々もあるので、手書きはそう捨てたものではない、ということが理解してもらえると思います。

 しかし、現代は手書きしたくても、パソコンなどで文章を作らないければならない事がほとんどでしょう。
 ですから、手書きの効用を得るためには、メモやスケジュール、手紙、日記など手書きするものを出来るだけ見つける必要があります。
 といってもこれは、昔から誰もが行っていたことで、今でもいろいろと手書きする機会は多いでしょう。日常、手軽にできることなので、本当にお勧めの脳トレだと思います。



 そんな長所の多い手書きですが、日本語で字を書くなら意識してほしいことが一つあります。
 それは、字を縦に書くようにすることです。
 日本語は縦に書くと、先ほど言った手書きの効用がさらに発揮される、と私は考えています。
 現代はさまざまな文章が横書きになっているので、字も横に書くことが多いでしょう。しかし、日本語は本来縦書きするように作られています。
 特にひらがなは縦書き向きの文字です。もともと漢字の草書体を崩した文字ですが、縦に書く中で作られているものなので、横書きするにはなじまないと言えるでしょう。
 ひらがなを含んだ日本語をなめらかに書くためには、上から下へと縦に書く必要があります。実際に書いて確かめてもらえば分かりますが、縦書きの場合は日本語本来の書き方になるので、スラスラと滞りなく書くことができます。
(子どもの頃から横書きだけしていると、丸文字などの変わった形の字を書くようになりやすいそうです)
 手の動きは脳と大きく関係しますから、この書くことのなめらかさは脳がよく働くことにもつながっていると考えられます。

 もちろんスラスラ書くだけでなく、一字一字ていねいに楷書で書くこともできます。楷書的につながりなく、一字一字を独立させて書くことは横書きでも可能です。しかし、横書きではなめらかに続けて書く、行書・草書的な書き方はできません。
 そして、楷書するときと、行・草書するときでは脳の違う部分を使っていると言われます。 
 楷書は集中力や真面目さ、規律、直線的なものに関係して、行・草書は運動能力や軽快さ、自由、曲線的なものにどちらかというと関連するように思えます。
 人にはどちらの要素も必要ですから、楷書的と行草書的の両方書けるほうが良いはずです。縦だとそのどちらも書くことが可能なので、このことからも縦書きのほうが優れていると言えるのではないでしょうか。



 この縦に書くことの意義は、石川九楊さんという書家の本で知りました。読んだのは数年前ですが、それからは字をなるべく縦に書くようにしています。
 石川さんは「日本語は縦に書かれるべき」ということをかなり激烈な文章で述べています。少し取りあげてみるとこんな感じです。

 「しなやかで自然なつながりをもつ日本語の思考は、縦書きにしか宿らないのだから縦に書けばいい。否、書くべきだ。縦に書けば天が意識され、重力を感じ、自省が生じそこに人類の未来に向けた思考も宿る」
 「アルファベットを縦書きするところになめらかで熟成した十全な思考が生まれるだろうか。おそらく綴り字のぎこちなさが思考のぎこちなさを生むに違いない。日本文とて同じことだ」
 
 その主張はタイトルがズバリの「縦に書け!」(石川九楊著 祥伝社新書)という本に詳しく述べられています。
 その中で著者は、日本語タイピングの問題や、若者の筆記具の持ち方の悪さなどについて語り、さらに縦書きすることがなくなり、パソコンやケータイに依存して、あらゆる物をお金との交換価値で計るようなになった日本社会が、人々の精神を低劣化させ、多くの異常な問題を生みだしている、ということについて強い口調で書いています。
 著者が縦書きの大切さについて教えてくれたことはとても有り難いですが、その社会批評的な言説や「手で書けばいろんな問題を防げる」といった文章は、ちょっと言い過ぎかな、と思っています。



 今ではパソコンやスマホ、さまざまな文書、国語を除く学校の教科書など、横書きになっているものはとても多くなっています。(このブログも下書きは縦に書いてますが、見ての通り横書きです)
 横書きだと数字やアルファベットがすんなり入るので、理数系の文章や英語を含む文章は横書きのほうが読みやすいでしょう。これは横書きも可能な日本語の良い点だとは思います。
 しかし、今でも、小説や実用書などの大半の書籍は縦で書かれていますし、新聞・文章メインの雑誌、漫画のセリフ等も基本的に縦書きになっています。
 そして、パソコン・スマホなどで横書きがこれほど一般的になっていても、縦書きの本・新聞などを横書きに変えよう、という動きはほとんどないように思えます。たまにそういう提案をする人がいても、多くの人から支持されないようです。
 縦書きが変わらないのは、横書きだと文字数が多くなった場合に読みにくくなるためではないでしょうか。
 ブログを書いていて思うのですが、横書きは字が多くなると詰まったかんじでゴチャゴチャしたように見えてしまいます。そのため改行して余白を多くとらないと読みにくいな、と思ってしまいます。(そうはいっても字が多いブログで恐縮なのですが)
 しかし、日本語で書かれた多くの本や、新聞がそうであるように縦組みになっていれば、字がたくさん詰まっていたとしても読みにくくはありません。
 文字数が多くても読みやすいならば、縦書きのほうがそれだけ深い内容を表現できるということになるでしょう。

 縦書きが読みやすい理由として、日本語、特に漢字は横にひかれる線が多いので、上から下への目の動きとその横線がぶつかり引っかかって認識しやすい、という説があります。(横に読むアルファベットは逆に縦への線が多い)これはけっこう合っているように思える説です。
 読みやすい理由が何であれ、これだけ縦書きの文字文化を変える気配がないのは、それだけ日本人が縦書き文化の良さ・大切さを無意識に感じているからではないでしょうか。(中国は縦書きが減っていて、世界で縦書きなのは日本と台湾だけみたいです)

 ですから、そこからもう一歩進んで字を縦に書くようにして、この縦書き文化を守り、その恩恵を受けるようにするのも悪くないはずです。
 そんな縦書きの良さを知ってもらって、一度試して頂けたらと思い、この横書きのブログに記してみました。
 




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