(前回からの続き)


 前回は、去年の11月にNHK「ためしてガッテン」で放送された、NASAが勧める最新アンチエイジング法「30分に一度立つ」について書きました。
 この方法がとても興味深かったのでちょっとネットで調べてみると、「ガッテン」でやったことの元ネタと思われる「NASA式 最強の健康法」(ジョーン・ヴァーニカス著 堀川志野舞訳 ポプラ新書)という本があるのを知りました。
 近くの図書館にこの本があったのでさっそく読んでみました。内容は、NASAの研究者である著者が宇宙飛行士の健康を調べる中で知った、座りすぎの生活が体に与える悪影響や、日常的に体を動かすことの重要性などについて詳しく説明されたものでした。
 しかし、なぜか「ガッテン」で取り上げられた、「耳石」と「30分に一度立つこと」については記述がありませんでした。
 「ガッテン」では、「耳石というのは、体の動きによって重力に引っぱられ、その信号が脳に送られて体の傾きを知ることが出来るもの。そして、耳石は全身の筋肉や自律神経とつながっているので、耳石が活発に動くと筋肉や心臓の活動が活性化して、糖や脂肪の代謝も良くなる」ということでした。
 一方、「NASA式」の本では耳石という言葉は一度も現れず、次のようなことが書かれています。
「人間の身体や脳が健康を維持するためには、重力を活用することが必要」
「無重力での暮らしとは身体を動かせない状態と同じ。体を動かさない生活をしていると、人間の動作を司る脳や脊髄のプログラム、脚の筋肉、骨といったものがもはや必要なくなり、衰える。動かないほど脳を委縮させるものはない。」
ということが述べられ、座りすぎの生活は無重力空間と同じように体や脳を衰えさせる、と警告しています。
 「30分に一度立つ」ということも出ていませんでしたが、ひんぱんに立つと筋肉が収縮し、血流・血液量・ホルモンに変化が起きる、といった良い効果があるということが書かれていました。

 そして、この本では、立つ以外にもよく体を動かすことが勧められています。
 体を動かすというと、私たちは有酸素運動や筋トレなど、体に負担をかける運動のことだと思うかもしれません。
 しかし、著者によると、健康にとって大切なのは、そういった続けるのに努力が必要な運動ではないそうです。行うべきなのは、一日を通して絶え間なく体を動かすことで、「健康を手に入れるために最善の方法は、週に数回スポーツジムに通うことではなく、毎日強度の低い刺激をひんぱんに与えるほうが効果的」と言っています。

 このジムエクササイズや有酸素運動よりも、日常生活で行う動きのほうが健康のために重要というのは、私たちの健康と運動に対する考え方にはあまりなかった視点ではないでしょうか。
 今まで健康のためには「運動が大切」とずっと言われてきましたが、なかなか運動できないという人は多かったはずです。
 しかし、この考え方によれば特別に運動しなくても、家事などさまざまなことで日常、体を動かすようにしていれば健康的ということになります。逆に毎日運動していても、残りの時間で動かなければあまり良くないということでしょう。
 数時間の運動より、日常生活での立ち上がったり、物を取ったり、身をかがめたり、といったこまごました動きのほうが消費するカロリーが大きいそうです。この日常的な動きが少なくなると、肥満や糖尿病などの原因になります。

 そして、一般的な運動と日常生活での動きは、使う筋肉が違っているそうです。
 骨格筋はその構造と働きによって大きくふたつに分けられます。一つは正しい姿勢を保つために使われる、支えるタイプの筋肉で、もう一つは身体を動かすのに使われる、動かすタイプの筋肉です。
 支えるタイプの筋肉は、ジムエクササイズでは鍛えられません。これは最大随意収縮(最大の力を発揮した筋力)の30%未満の小さな力を継続するときに使われるもので、家事や姿勢を変えるなどのあまり力を必要としない動きで使われる筋肉になります。この支えるタイプの筋肉が健康に大きく関係するそうです。
 宇宙飛行士は宇宙で毎日数時間は運動していますが、彼らの体はかなりの速さで衰えます。これは無重力だと支える筋肉が使われないためです。(「ガッテン」では衰える原因を耳石が動かないためと説明しています)
 このことから、重力を感じてバランスをとりながら立ち上がったり、家事等のこまごましたことをしたりといった動きを一日中行うのが大切、ということが分かります。
 この支える筋肉は、継続して長時間働くと最大の効果を発揮するという性質があり、渡り鳥や水中を泳ぐ魚、長距離を走る哺乳動物が使う筋力はこちらのタイプだそうです。
 支える筋肉は体を動かさないでいるとたちまち弱まってしまいます。そして、そのことがカロリーの消費を少なくして糖・脂肪の代謝が悪くなることにつながり、肥満・糖尿病・循環器疾患の原因になるということです。



 前回の記事で紹介した「30分に一度立つだけ」も支える筋肉を刺激する簡単で効果的な方法ですが、「NASA式」の本では、それ以外にできるこの筋肉を鍛えるための方法がいろいろ書かれています。
 効果的なものとして挙げられているのは、ストレッチや料理をする、ヨガ・太極拳を行う、歩く、階段を使う、などです。面白いものとして、立ったまま靴下やズボンを脱ぎ着する、なんていうこともありました。
 階段は上るのがキツい場合はエレベーターやエスカレーターを使い、バランスをとることを要求される下りから始めると良いということです。
 また重力の変化を受けることが体に良い効果をもたらすということで、ジェットコースターやトランポリン、乗馬(マシーン)、オートバイに乗ることなども勧められています。
 
 本には出ていませんでしたが、掃除をすることや、部屋を整理する・飾る、園芸や家庭菜園、DIYを行うといったことも体をよく動かすものだと思います。
 こういった強度の低い動作を継続させて支える筋肉を良好な状態に保つことが、健康的な生活や、年をとってもなるべく介護を受けないでいられる事につながっていくそうです。
 こうやってこまめに動ける体を基礎として、その上でスポーツや有酸素運動、ジムエクササイズを行うようにするのが理想的だと、著者は述べています。

 行うことをいろいろ書きましたが、こういったことをやるのが面倒だったら、ただ「30分に一度立つ」ようにするという最終手段があります。
 たぶん「30分に一度立つ」だけで体に変化が出てくるはずなので、そこから徐々に行えることを増やせば良いのではないでしょうか。



 前回の「30分に一度立つ」と今回の「強度の低い動きを一日通じて行うことが大切」というふたつは、どちらも私にとって興味深いものでした。
 とにかく、長い時間座りっぱなしでいては駄目ということなので、これからは気をつけるようにしたいです。
 ちょっとでも動くことが、アンチエイジング・病気予防・ダイエット法になるのだから、少しはやる気になります。これは、少ない投資で大きな効果の得られると言ってよい方法でしょう。
 この文を読んでいただくのにも長い時間座らせてしまい恐縮なのですが、前回・今回と書いたことが少しでも健康的な生活への参考になればと思っています。また、「NASA式 最強の健康法」には小さな振動を体に与えることが骨密度を増やす、など他にもおもしろいことが書かれているので、よろしかったら一読してみてください。

 (次回に続く)






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NASA式はあくまでも研究段階です。
基本は負荷をかけた運動です。
こちらは様々な健康効果は統計的にも出てます。
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