(前回からの続き)

 前回は「こまめに体を動かす」ということ、前々回は「30分に一度立つ」ことについて書きましたが、今回はそれらについて思うことをいろいろ書いてみようと思います。


 とにかく、「座りすぎは健康に良くない」ということらしいのですが、私がそれを聞いて思いつくのは、岡本太郎の「座ることを拒否する椅子」です。
 「太陽の塔」を作った芸術家岡本太郎を若い人は知らないかもしれませんが、中年以上の人なら誰でも知っているはずです。この「座ることを拒否する椅子」を覚えているという人もけっこういるでしょう。
 これは高さが50cmくらいのカラフルな椅子です。座るところが少し盛り上がるように丸みを帯びていて、そこにギザギザした突起があったり、顔の形をした変わった造形がほどこされていたりします。そして、そういった形に加えて、陶製なので固くてとても座りにくそうなんです。
 本来、椅子は人が座るためのものですが、その椅子が主体的に意志を持って座られることを拒む、というのはとても面白い発想だったと思います。
 岡本太郎さんがこの椅子の制作動機を語った文を私は以前読んだことがあり、そこでは確かこんなことが言われていました。
 「私はフカフカのソファみたいなものが好きになれない。だから何か森にある切り株のような固い座り心地で、小休止できる椅子を作りたかった。少しだけ座って再び活動するためのエネルギーを蓄えるのだ」
 彼はとてもせわしなく、飛行機やコンサートなどでもじっと座ってられない人だったということです。
 晩年は病気のためあまり動けなかったみたいですが、それまでは「芸術は爆発だ」の言葉通り、爆発的なエネルギーで絵画・彫刻・著述と盛んな創作活動を行いました。その活躍は、この決して座り込むことをしない肉体から生まれたように思えます。
 

 また、画家は長生きということがよく言われます。 
 この前、横尾忠則さんを特集したテレビ番組を見ました。
 今80才という横尾さんはとてもそんな歳には見えず驚いてしまいました。番組の中で「猫が好き」と彼は言っていたけど、猫のようなしなやかさを感じさせる若々しい姿でした。
 絵を描くのは手を使ったり、想像力を働かせたりするので脳に良いと言われます。
 そして、立って描いたり座って描いたり、絵の具を混ぜたり、離れたところから画面を眺めたりと、体をこまめに動かす必要があります。この活動量の多さが、画家の長寿と関係しているのかもしれません。
 そして、絵は自分の好きなように描くものだからストレスが発散されて、心身に良い影響を与えるということもあるのでしょう。特に横尾さんは、他人の評価にとらわれず、自分のやりたい事をいつでも行ってきた人なので、心身ともに若くいられるのだと思います。




 立ち上がること、こまめに動くことの健康効果は、姿勢を変えるところから来ているそうです。
 前回の記事で紹介した本「NASA式 最強の健康法」(ポプラ新書)によると、立っているだけでも脚の筋肉の助けを受けずに頭に血を送らなければならないので、循環器機能に良いということです。
 しかし、健康にとってより効果的なのは、ひんぱんに立ち上がることみたいです。
 立ち上がるたびに全身の筋肉や神経を刺激して、心拍が増し、血流・血圧の調整に良い働きをします。立ったり座ったり、こまめに動いたり、ということでこの効果は得られます。

 こう考えると座り心地のよい椅子や、インターネット、リモコンといった便利で快適、体を動かさないですむようにさせるものは、健康にとって良くない面があるように思います。
 立ち上がっていちいち何かしたり、自分で買い物に行ったりしなければならないような手間が、おそらく体のためにはある程度必要なのでしょう。
 そして、ちょっと不便でめんどうなことを行うようにすると、運動やダイエット、アンチエイジングの効果が得られるのではないでしょうか。運動やダイエットといったことはふだん私たちが良い方法を探しているものですが、そのベストな方法は本当は身近にあったと言えるのかもしれません。
 
 不精な私としては、こまめに動くことが出来るかちょっと分からないですが、「30分に一度立つ」というのならやれそうなので、これだけでも続けようと思っています。
 効果を高めるための方法として、目をつぶってゆっくり立って座るのが良いそうなのでそうしています。これは一回に10秒かからず行えるものです。
 ここ一ヶ月ほど座る時間が長いときにやっていますが、なんとなく体が活性化しているような実感があります。
 


 現在、日本人の平均寿命は女性86才、男性80才と女性が6才ほど長生きになっています。
 女性が長生きの理由としては、ホルモンの関係、基礎代謝が低い、社会性がある、といったことが考えられるそうです。
 そして、それらに加えて、女性のほうが家事などで体をこまめに動かすから、という事もあるのかもしれません。
 炊事・洗濯・掃除と一日中動かなければならない家事は、今は少し違うかもしれませんが、昔から女性が行うことでした。一方、外で仕事をする男性は家では動くことが少ないと思います。
 男女どちらの活動量が多いか分かりませんが、こまめに動くのはやはり女性ではないでしょうか。
 そして、前回の記事で書いたように一日中ひんぱんに動いて、支える筋肉を使うことが健康に良いので、これが男女の寿命差の一因になっているのかもしれません。
 支える筋肉は運動では鍛えられず、小さい強度の動きを継続するときに使われるものなので、家事をするとこれがよく動いて鍛えられるはずです。
 家事の中でも掃除は、しゃがんだり、かがんだり、と体をいろいろ動かすことが必要です。したがって掃除をよくするようにすれば、活動的な肉体の土台になる支える筋肉を特に使うと思います。
 また女性はお化粧等で外見を飾りますが、そういったおしゃれのために行うこまごました動きもカロリーの消費につながり、男の人より余分に体を動かしていることになります。
 こういった小さな動きも積み重なるとかなりの量になり、糖・脂肪の代謝に影響を与えるそうです。




 海外では座りすぎが良くないということが広く知られている国もあって、学校で立って勉強したり、会社でのデスクワークを立って行ったりしているところもあるみたいです。
 この座りすぎの弊害は(1時間座ると22分寿命が縮むなんて説もある)、日本ではまだあまり言われてません。ふだんから長時間座っているという人は、このことに気をつけたほうがいいと思います。(そういう人は30分に一度立ちあがりましょう!)
 飛行機とか電車、高速バスなどでの移動は長時間座りっきりになることが多いです。そんな場合トイレに行くなど、なるべくひんぱんに立つようにした方がいいかもしれません。
 また、映画やコンサートでも長く座りがちです。これも途中で隙を見つけて立ちたいものですが、それが無理なら座ったまま上体を傾けるように動かして耳石を動かしたほうがいいかもしれません。



 2ヶ月ほど前に話題の映画「君の名は」を見に行きました。
 割引きの日だったのでかなり混むだろうと思い、空いていそうな午前中に行ったのですが、さすが大ヒット作だけあって座席は7割がた埋まっていました。
 見始めて20分ほどすると、尿意をもよおしてトイレに行きたくなりました。始まる前に済ましてきたのですが、私は午前中だとよくトイレに行きたくなるんです。
 座ったのは後ろの右側で、入り口から一番遠いところでした。
 途中トイレに行くのは空いてるときなら気になりません。しかし、たくさんの人がいる中(それもほとんどが若い人)、出ていくのはとても恥ずかしかったけど、あと一時間以上我慢できるはずはないので、できるだけ身をかがめ小走りにトイレに行きました。
 帰って来て、そしらぬ顔で続きを見ましたが、もう一度行きたくなったらどうしよう(たまにそういうことがあります)と、ちょっと不安でした。でも、なんとか無事最後まで見ることができました。
 映画の印象も薄れてしまうような体験でしたが、途中で立ったのは、座りすぎの弊害を避けるという観点からは良かったのかな?(^_^;)










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