(前回からの続き ここで書いていることは私の仮説なので、寛大な気持ちでお読みいただけたらと思います)


 この記事を書くにあたって参照した本「きき手大研究」の著者・八田武志先生は、無理な利き手の矯正には否定的な見方をしていました。しかし、きき手でないほうの手を積極的に使うのは、身体にとって大切なことではないでしょうか。
 左右両方の手が使えるようになると体のバランスが良くなります。
 前回、武井壮が本来右ききだったのを、スポーツに有利になるからと左ききに変えた話をしました。彼は両方が使えるので、陸上の十種競技を行うときに体の一方側が疲れても、もう一方を使えるためいい記録が出せた、ということを言っていました。
 また彼は一日1~2時間くらいしか寝ないそうですが、体を左右バランスよく分担して使うため人の倍体力があるのかもしれません。

 動物の脳を調べると、天敵からの回避といった危機対応の時に働くのは、右脳だということです。
 前回述べたように、右脳の働きには空間認識や速度判断といったこともあり、この危機対応時に働くということも含めて、右脳は運動神経や身体能力と密接につながっていると言えると思います。
 そのため左手を使うことで、体の左側の動きを支配している右脳が活性化して、その結果運動や身体の能力が強化されるのではないでしょうか。

 このことに関係すると思われる興味深い話が「利き手大研究」の本の中に出ていました。それはサルは左ききということです。
 これはどうしてかというと、次のような説明がされていました。
 原猿と呼ばれるニホンザルより進化の上で下位に属するサルは、視覚と強いつながりがある右脳を働かせるため主に左手でエサをとり、右手は木の枝をつかむ姿勢保持に使われることが多い。
 それがサルの進化の過程で両手を使うことが多くなり、だんだん姿勢保持時に使われていた右手(左脳支配)が手指動作に使われるようになる。
 この右手の手指動作がコミュニケーションに使われるようになって左脳が発達し、音声言語の獲得につながっていった。つまり、原猿から類人猿、ヒトへの進化の過程で左ききから右ききへの変更が起きた、ということを言っています。
 そして、サルの中で進化的に上位にいる類人猿は、オランウータン、ゴリラ、チンパンジーの順に人間に近いですが、オランウータンが左きき、ゴリラが弱い右きき、チンパンジーが右ききという研究結果があるそうです。
 
 ニホンザルは原猿と類人猿の中間くらいに位置するので左ききが多いみたいです。
 お祭りのサル回しを見ても、身長の倍以上の高さまで軽々とジャンプできるくらいで、ニホンザルの身体能力はとても人間の比ではありません。
 電線の上でもバランスとって動き回れるそうですし、走っても相当速いということです。このニホンザルの身体能力は、左ききから来ているところもあるのかもしれません。
 サルは進化していくに従って右ききになり頭が良くなっていきますが、左ききでなくなったことから身体性は反対に落ちていっているのではないかと思われます。

 左ききの芸能人にはペナルティのワッキーや、ガレッジセールのゴリ、小島よしおといった肉体派と言っていいい人が多くいます。松本人志もすごい体になっていますよね。40代のワッキーが20代のJリーガーと持久走対決をして勝ったのを前にテレビで見ましたが、あれには本当に驚いてしまいました。
 私の周りにいる何人かの左ききも人より体力がある印象です。
 ヒトは言語の発達とともに右きき左脳優位になってきたと考えられますが、左ききで右脳を働かせることは言語獲得以前の野性的な本能・身体性につながるところもあるのではないか、と私は思っています。



 「利き手大研究」の本には、カナダの高齢者のきき手別の健康調査ということも書かれていました。
 ここでは、「生まれつきの右きき」「左ききから矯正された右きき」「矯正された経験のない左きき」「親が右ききに矯正しようとしたが失敗した左きき」という分け方で比較が行われています。
 その調査の結果では「矯正されてない左きき」が一番健康で、次に「右きき」「矯正された右きき」「矯正できなかった左きき」という順番になっていました。
 同じ調査で生活満足度を調べたものもあり、一番良かったのが「左きき」で、2番目が「矯正された右きき」「右きき」「矯正できなかった左きき」という結果になっていて、特に矯正できなかった左ききの結果が極端に悪いということになっています。
 この調査から分かるのは、左ききの矯正は上手くできれば問題はないが、失敗すると後々の人生に影響するということのようです。右ききに変えようとして失敗したりすると、無用なストレスを与えて自信のない人にしてしまうのでしょう。

 ネットを見ると、子どもの左きき矯正は大きな関心事で、たくさんの人が経験や意見を述べています。
 今では左ききのスポーツ選手などの活躍もあって、どうしても右ききに変えなければ、という親は減ってきているでしょう。
 しかし、左ききでは何かと不便なこともあるから、箸やペンは右手に持たせようとするのは多いようです。そして、この矯正はそれほど問題なくできたという場合も結構あるみたいです。
 右手を使わせて簡単にできる子は問題がないけれど、激しく嫌がる場合は吃音になったり、トラウマになったりしてしまいます。先ほどの調査結果のように後々まで響くことあるので、無理な矯正は止めたほうが子どものためでしょう。
 この記事でここまで書いてきたように、左ききには優れたところがあるから、強制的に変えないようにしたほうがいいのだと思います。
 そして、左ききの人はさまざまなことが右きき用になっている社会で右手も否応なく鍛えられて、両手が器用になったり、頭を使ったりしなければならないので有能になるという意見もあります。


 考えてみると、大多数が右ききだから左ききは右に変えなければならない、というのも理不尽な話です。(矯正という言葉を使っていますが、おかしい言葉ですよね)
 そして、大多数の右ききの人は、生活上不便がないので左手をあまり使わなくても済みます。
 しかし、右投げ左打ちのバッターや武井壮のように左手をよく使うことで身体性が高まることもあるかもしれません。ですから、何か一つでもいいからあえて左を使うようにするのは、とても興味深く役に立つことかもしれません。

 スポーツ選手は競技上有利なので左手への変更を行うことがありますが、他の事柄で左手を使おうとする人は少ないので、それがどういった成果をもたらすかは分かりません。
 それでも左ききには英才児が多かったり、芸術の才能があったりすることがあるので、右ききが左手を使うのもスポーツ選手の場合のように、なんらかの影響をもたらすことも考えられます。
 左手を使うことと少し違うかもしれませんが、両手を別々に動かすピアノ演奏は脳を活性化させ、子どもが習うと脳の成長に良いと言われます。
 ピアノのように複雑な動きでなくても、きき手でないほうの手をよく使い、脳を刺激して身体のバランスが取れるのはとても良いことのはずです。
 

 きき手に関する話にはおもしろい事がいろいろあります。
 ゴルフの海外のトップ選手には左ききだけど右打ちという人が多くいるそうです。ジョーダン・スピース、アーニー・エルス、セルヒオ・ガルシア、往年の名選手ではジャック・ニクラウスにトム・ワトソンなどです。(私はゴルフに詳しくないので、これらの選手がどれくらいすごいかは分からないのですが) 
 日本のプロ野球の記録保持者が左ききと言いましたが、王さんやバリー・ボンズは左ききだけどペンは右手だそうですし、張本さんは元々右ききでしたが、右手をケガしたために左ききになったそうです。
 サッカーの中村俊輔選手は足は左ききだけど、手は右ききです。
 こういったことを聞くときき手というのはけっこう複雑なものなんだな、と思えます。しかし、一流選手はなんとなく、体の両方を使ってバランスをとっているようだ、とは言えるのではないでしょうか。



 私が左手を使いだしたのはただ何となくで、今回書いたようなことを考えてではありませんでした。
 ちょっとした趣味として気楽にやっていますが、長い間続けてもなかなか思うように使えるまではいきません。そして、左手をよく使ってもすごい才能が現れたことも今のところないです。(ちょっと期待はしていますが)
 でも、子どもは心身の柔軟性があるので、きき手と違う手を使うのは、あまり難しくないように思えます。そして、子どもがそれを強制でなく楽しんで行うのだったら、何かしらの成果もあるのではないでしょうか。






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