(前回からの続き) 

 栄養士や医者といった専門家は、カップ麺やジュースが健康に良くないのは分かり切ったことだから、これらを摂りすぎないように、とあまり言わないのかもしれません。
 しかし一方で、みそ汁・漬け物は塩分が多い、果物は太りやすい、と健康効果のあるこれらの食べ物のデメリットについてはたびたび指摘したりします。
 これが私には納得できないのですが、良くないものは当たり前だから言わない、という風にしてると、ジュースやカップ麺はそんなに悪くない、みたいな印象を与えてしまうのではないでしょうか。
 これが意図的になされているかは判らないですが、ここには情報のミスリード、印象操作があると思ってしまいます。


 こういった食の印象操作として、私がつねづね「それはないだろう」と思うことがもう一つあります。
 それは一部の医者がよく言う「肉をもっと食べよう」という発言です。最近はメディア等でこの言葉を耳にすることが多くなっています。
 これは栄養不足気味の高齢者が増えているために言われているもので、たんぱく質が特に足りてないので「肉がいい」ということみたいです。
 高齢者に低栄養状態が多いというのはそうかもしれないですが、たんぱく質を摂るために消化の良い魚や大豆製品でなく肉が勧められるのは何故なのかなと思ってしまいます。

 そして、この高齢者に向けて言われている「肉を積極的に食べよう」という言葉が、なにか「すべての人が肉をどんどん食べれば健康」というミスリードのメッセージになって伝わっている気が私にはするのです。
 また、この頃は食事で糖質制限するのが流行っています。ここでも米などの炭水化物の代わりに、肉・動物性食品のたんぱく質をたくさん摂るのが勧められています。


 日本では肉や乳製品の摂取量が増えて、野菜を食べることが少なくなっていますが、この二つの「肉を食べよう」という言葉は野菜不足の状況を後押しをしているように思えます。
 現在、私たちが外食をするときには野菜をあまり食べられないことが多いです。こういった環境で「肉がいい」と聞けば、さらに肉中心の食生活になってしまう人が増えてしますはずです。




 肉は良質のたんぱく源であるなどいろいろなメリットがあると思いますが、一方でさまざまな問題もあるので食べるときには注意が必要です。
 
 健康に関してのデメリットとして、肉を食べると腸内環境が悪化して悪玉菌が増えということがあります。悪玉菌が増加すると便秘や肌荒れ、免疫力の低下等をもたらします。
 また、アンモニア・アミン・硫化水素などの有害物質や、発がん性物質が作りだされ、これらが腸から吸収されて全身を巡ったり、大腸がんの原因になったりします。


 肉の品質の問題もあります。
 海外から輸入される肉は、抗生物質や成長を促すホルモン剤が多く残留している危険性があるそうです。
 家畜への抗生物質の使用は耐性菌を発生させる原因になります。この耐性菌がさまざまな感染症を治りにくするという問題を起こします。
 成長ホルモン剤は内分泌系に影響を与え、子宮体がんや乳がん、大腸がん、前立腺がんなどの「ホルモン依存性がん」の原因になるとも言われています。

 国産の肉はある程度安全とされますが、安いアメリカ産牛肉やブラジル産鶏肉は特に危険性が高いということです。
 スーパーで売られているアメリカ牛を調べたら、国産牛と比べて約600倍の量のホルモン剤が残留してたこともあったそうです。
 外食で安い肉を食べるとたいていこういった肉が使われているはずです。
 
 牛の飼育には大量の飼料用穀物が使われます。
 牛肉1キロを作るためにトウモロコシなどの飼料約10キロが必要ということです。
 世界中でとれる穀物の約3割は家畜の餌になっていますが、この家畜用飼料の大量消費が世界の食糧不足の原因の一つになっているとされます。 
  
 あと、スーパーに並ぶ肉がどうやってそこに来ているか、を想像するのも大事だと思います。
 日本ではほとんどの人がこのことを考えてないですが、それを少しでも想像すれば肉を食べることに対する意識も違ったものになるはずです。



 アメリカのがん患者を減らしたデザイナーフーズプログラムやファイブ・ア・ディ運動、ハリウッドセレブのベジタリアン志向など、がんや病気を防ぎアンチエイジング効果のある植物性食品の良さが世界的に重要視されてきて、野菜・果物を積極的に摂ることが勧められています。
 
 たんぱく質の摂取も植物性のものが良い、という研究があります。
 ハーバード大学栄養学部で13万人以上を30年にわたって調べた研究で分かったのは

「豆、ナッツ、チキン、魚といった脂肪の少ないたんぱく質中心の食事は、赤身肉や卵、乳製品といった脂肪の多いたんぱく質をたくさん摂る食事より死亡リスクが低下する。そして、死亡率がもっとも低いのは豆類、ナッツ、穀物などの植物性食品からたんぱく質を多く摂る人達だった。(一方で、一番良くないものは赤身肉やソーセージだが、健康な人の場合、赤身肉を食べても死亡リスクは上がらない、ということも分かった)」

といったことでした。
たんぱく質の摂取は動物性より植物性 ハーバード大による研究

 この調査研究は本当に大規模なもので、たんぱく質摂取に関して決定版ともいえるものだそうです。(日本ではなぜか全く取り上げられませんでしたが)
 戦後日本人が肉を食べるようになって寿命が延びたともされますが、こういった調査から見れば、昔からあまり肉を食べてこなかった日本人に「肉をたくさん食べよう」と勧めるのはどうかな、と思ってしまいます。
 

 また、糖質制限で肉中心の食事をすることについてもハーバード大学が13万人を20年以上にわたって調査した研究があります。
(糖質制限ダイエットはアメリカでかなり前から行われている)

 この調査によると、食事で炭水化物を約60%程度摂る高糖質の人と炭水化物を約35%に制限する低糖質食の人を比べると、低糖質食の人の方が死亡率が12%高くなりました。がん死や脳心血管死も増えていたそうです。
 低糖質にすれば肉中心の食生活になりやすいですが、低糖質で動物性食品が多い人の場合死亡率はさらに上がります。
 日本の国際医療研究センターの27万人を対象にした調査でも、糖質摂取が30~40%の低糖質の人は60~70%の高糖質の人より30%も死亡率が高かったということです。

 今、糖質制限で痩せる、体が引き締まるなんてことがよく言われますが、こういった研究があるので十分注意するべきだと思います。
 一時的ならともかく、日常的に肉ばかりの食生活を行うのは危険ということではないでしょうか。

 以前私が読んだ糖質制限を勧める医者の本には、肉中心の縄文人の食事がいい、なんてことが書いてありました。
 しかし、縄文土器はドングリの渋抜きが主な用途だと言われるものですし、発掘される縄文人の歯にはドングリの渋がたくさんついているそうです。
 いつ獲れるか分からない動物の肉より安定的に採集・貯蔵できる(栽培していたとも言われる)栗・ドングリなどを多食してエネルギー源にして、脂肪をつけるようにしていたはずなので、肉ばかり食べて糖質を制限していた縄文人なんていうことは変な話だと思います。



 それでも、肉をたくさん食べて健康で長生きという人もいるみたいですし、野菜が本当に嫌いな人は仕方ないと思います。(スーパーで売られている野菜があまりおいしくないというのも問題でしょう)
 でも、「肉、動物性食品がいい」という説を信じて肉ばかりの食生活になれば、先ほど書いた研究からもあまり良くない結果を招く可能性があります。
 
 世界の長寿地域と呼ばれる場所ではたいてい野菜を多く摂る食生活を送っています。
 肉をたくさん食べると大腸がんが増えるといったことはあるかもしれませんが、健康・長生きになれるといったことはほとんど聞いたことはありません。
 本当にそういったことがあるなら、世界中で昔から動物性食品中心の食生活を選択していたはずです。
(海沿いに住む人でも魚の多い食生活の人たちと、海藻を多く食べる人たちでは後者の方が長生きだったという話を読んだことがあります。またライオンなどの肉食動物とウマ・ウシなどの草食動物では明らかに草食動物の方が長く生きます)

 今の日本では、高齢者を除けばたんぱく質の不足よりもビタミン・ミネラル・ファイトケミカルといった野菜からの栄養摂取が少ないことの方が問題だと私は思います。

コメント

Re: ある程度、デンプン(糖質)は取った方が良い

レインボーさん コメントありがとうございます。

いま本当に糖質制限が流行ってますよね。
私も糖質摂りすぎるとだるくなったりするので、あまり摂りすぎないほうがいい気はします。でもやっぱり制限しすぎるのも良くないみたいです。

ある程度、デンプン(糖質)は取った方が良い

>日本の国際医療研究センターの27万人を対象にした調査でも、糖質摂取が30~40%の低糖質の人は60~70%の高糖質の人より30%も死亡率が高かったということです。

〇記事拝見しました
 ある程度、デンプン(糖質)は取った方が良いのですね。
 たいへん参考になりました。
 草々
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