一ヶ月ほど前、週刊新潮に食肉の薬剤耐性菌についての記事がでていました。
 薬剤耐性菌(以下耐性菌)というと、病院で入院患者がMRSAに感染して死亡した、とか、温泉施設でレジオネラ菌の集団感染が起きた、なんてニュースのときに目にするくらいで、私はそれほど意識したことはありませんでした。
 しかし、よく調べてみると、私たちもおそらく耐性菌を保有しているみたいですし、この問題はこれから人々の健康に関わるとても重大なものになるように思えました。
 そこで、今回はこの耐性菌の怖さということについて書いてみます。



 週刊新潮の記事には次のようなことが書いてありました。
 厚生労働省の研究班が、2015年から17年の3年間、国内3カ所、550検体の鶏を調べたところ、国産の鶏の59%、ブラジル産の鶏の34%が耐性菌を保有していた。
 また、東京都健康安全研究センターが15年、都内で流通する食肉を調べたところ、鶏肉は100%、豚肉は65%、牛肉は52%が耐性菌に汚染されていたということです。
 厚労省の調査では、解体される前の鶏を調べた結果54%、34%という数字になっていますが、東京都は流通している鶏肉を調査しているので、鶏の解体時に菌が包丁やまな板に付着してすべての肉に広がったと考えられています。
 これだけ食肉に付着しているとなれば、耐性菌は私たちの身近にある、ということがよく分かります。
    


 耐性菌が身近なものになっているのは、次のようなことにも表れています。 
 日本人の死因は、一位ガン二位心疾患、そして三位が肺炎となっていて、肺炎で年間十数万人がなくなっています。
 肺炎による死亡者が増えているのは、平均寿命が長くなっていることもありますが、ペニシリンなどの抗生物質が効かなくなっていることも大きな要因だそうです。
 肺炎や髄膜炎、中耳炎、敗血症などの感染症はさまざまな細菌によって引き起こされます。
 これまでは抗性物質を使えば治っていたそれらの感染症は、病気の原因となる細菌が薬剤に耐性を持つことで治りにくくなって、重症化するようになってきています。
 耐性菌による死者は世界的に増え続けていて、このままだと2050年には世界で1000万人が耐性菌の犠牲となり、ガンによる死亡者数より多くなる可能性もあるそうです。
 これはとても深刻な問題と言えるでしょう。将来私たちはちょっとした傷で命を落としたりする、なんて事もあるのかもしれません。



 耐性菌は抗生物質の使いすぎによって生まれます。
 人よりもはるか昔から地球上に存在する細菌はすごい能力を持っていて、一度突然変異などで薬剤耐性化した菌が現れると、その細菌が遺伝子を他の細菌に受け渡してあっという間に耐性菌が増殖していくそうです。

 細菌による感染症は抗生物質を使って治療しなければなりません。
 しかし、軽い症状やウィルスが原因の風邪などの症状に抗生物質をたくさん使い過ぎているために耐性菌が多発してしまい、肝心な抗生物質をしっかり効かせたいときに効果が発揮できないことになっています。
 したがって、耐性菌を生まないように抗生物質の使用は慎重にされる必要があります。
 無用な抗生物質使用としては、風邪のときに処方されることが問題とされています。
 このことは昔から言われていましたが、最近やっと厚労省が使用を控えることを推奨するようになりました。
 極端な清潔志向の日本では、医療機関や一般家庭でも抗生物質や消毒液を使い過ぎているため、世界有数の耐性菌生産国になっています。
 耐性菌の蔓延は治る病気も治りにくくなることを意味しますが、この問題は専門家によると人災と言えるそうです。

 抗生物質を使いすぎると耐性菌が体内で増えます。
 耐性菌を保有していてもふだんは問題ありません。しかし、いったん何かの理由で免疫力が弱ると、耐性菌による感染症が起きやすくなります。
 これは免疫力の弱い老人や子ども、病気の人に起きやすいので、特に注意が必要です。
 
 一方、感染症にかかったとき、医者に処方された抗生物質は飲み切らないと、病原菌をすべて殺せずに耐性菌を作る原因になる、ということもあります。
 したがって、もらった抗生物質は最後まで飲まないといけません。
 しかし、先ほどから言ってるように、処方された抗生物質が過剰投与で耐性菌を生みだす、ということもあります。
 その抗生物質の使用が適当かは専門家でない患者には分からないので、この問題は医者の意識にかかっていると思います。
 難しいのかもしれないですが、ぜひ耐性菌をこれ以上増やさないように考えてもらいたいです。
 患者の方もちょっとした症状や風邪で抗生物質をもらわないようにするのは、自分自身のためになることだと思います。


 日本は耐性菌への取り組みが遅れていて、感染症の原因菌に効果のある抗生物質を使うのではなく、広い範囲で細菌を殺す抗生物質を使用するため、耐性菌を生みだしやすくなっています。
 このため腸内細菌がダメージを受けて、免疫力を落とすことにもつながります。
 特に小さい子どもは影響を受けやすく、海外の調査研究では抗生物質の使用が子どもの腸内細菌を変化させることによって、喘息などのアレルギーや肥満、慢性腸疾患、自閉症の原因になるということも言われています。
 


 食用動物から薬剤耐性菌が検出されるのは、動物にも抗生物質が使われているからです。
 抗生物質は、動物の病気の治療に使われるだけでなく、動物を早く成長させて太らせるために飼料に入れられてもいます。
 先ほど抗性物質を子ども投与すると肥満になる、と言いましたが、動物でも腸内細菌の組成が変わって太りやすくなるそうです。
 

 日本の抗生物質の使用量は、ヒトの医療用が約520トン、家畜医療用は約720トン、成長促進のための家畜飼料に入れられるのは約180トンになっていて、畜産にかなり多くの量が使われています。
 一方でEUは飼料用の抗生物質は禁止されています。
 アメリカでも多用されていて、製造される抗生物質の約70%が家畜に使われるそうです。
 それでも、アメリカでは耐性菌に対する危機意識から、マクドナルドやケンタッキーといったファストフードチェーンで鶏に抗生物質を使わない決定がされたりしています。
 しかし、日本ではこういったことに関して何らかの対策されたのはほどんど聞いたことがありません、


 肉に耐性菌がついていても、十分に焼いて火を通せば大丈夫、ということなのですが、肉を切った包丁・まな板で他のものを切ったり、肉をさわった手をよく洗わずにサラダを作ったり、なんてことはありえます。
 なにせ100%耐性菌保有なので、手をこまめに洗う、とか、肉と野菜の包丁・まな板は別にして、使用後に熱湯消毒する、などの注意は必要だと思います。


 (次回に続きます)


コメント

Re: 怖いですね...

ながともさん、コメントありがとうございます。

耐性菌、ふだん元気なときはあまり影響はないかもしれないですが、
高齢者ゃ幼児、体調がすぐれない人には厄介な症状を引き起こすことになるかもしれません。

あまり気にしすぎるのも良くないでしょうが、ある程度の知識を持って注意を払ったほうがいいと思います。

怖いですね...

耐性菌、怖いですよね。
私たちの身近にあるものだからこそ、しっかり気を付けて対策を怠らないようにしたいものです。

次の記事も楽しみにしてます♪
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