(前回からの続き)


 便秘や糖尿病、動脈硬化、ガン、アレルギー、うつ、肥満と現代人を悩ます多くのことの予防・改善に短鎖脂肪酸は関係します。
 こういった症状が増えていることの原因として、食物繊維を摂らなくなっている食生活があると思ます。

 日本や世界の長寿地域とされるところを調べると、どこも食物繊維が多い食事を摂っています。
 未精製の穀物や野菜、根菜、いも類、豆類、海藻など、地元で採れる植物性のものが中心で、動物性のたんぱく質や脂肪は少ない食事です。
 こういった食生活や畑仕事などでよく体を動かす習慣によって、長寿地域では高齢になっても活動的な人が多く、病気や寝たきりになる人は少ないということです。
 植物性食品をたくさん食べる長寿地域の老人の腸内細菌を調べると、短鎖脂肪酸を作る菌がかなり多くて、そういった菌の割合が高い人に元気で長生きの傾向があるそうです。
 この短鎖脂肪酸の働きについては、いま世界中の研究者が注目しているので、これからまだいろいろなことが解ってくるでしょう。
 それによって、こういった長寿地域の食生活の良さについても今まで以上に見直されていくと思います。

 


 食物繊維は、水に溶けない不溶性と、水に溶ける水溶性のものがありますが、どちらも大事な働きをします。
 不溶性食物繊維は、未精製の穀物や野菜、キノコ、マメなど植物性食品全般に含まれています。
 この食物繊維は、消化されないことで便のカサを増やして腸内の不要物を絡めとり、便通を良くしてくれます。
 
 水溶性の食物繊維は、果物や海藻、コンニャク、オクラや納豆などのネバネバした食べ物に含まれます。
 水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル状になって糖質やコレステロールの吸収を穏やかにしたり、便を柔らかくしたりします。
 そして短鎖脂肪酸を作る腸内細菌のエサもになります。

 日本人は海苔や昆布、ワカメといった海藻類から水溶性食物繊維を多く摂っています。
 この海藻を分解して短鎖脂肪酸に変える腸内細菌はプレビウス菌というものです。
 このプレビウス菌は世界中の人の腸内に生息していますが、海藻を分解する能力を持っているのは日本人のプレビウス菌だけだそうです。
 日本人が昔から海藻を食べてきたことで菌が変化したと考えられていますが、海藻をエネルギーに変えられることも日本人の長寿と関係しているのかもしれません。



 世界の長寿地域とされるところでは、動物性のたんぱく質や脂肪が少なく、未精製の穀物や野菜といった食物繊維の多い食生活を送っていたことが分かっています。
 日本一の長寿県とされる長野は野菜摂取量も一番多いですし、長寿研究で有名な山梨県の棡原や、百寿者が多い奄美の徳之島、沖縄を代表する長寿地域・南大東島といったところでも野菜中心の食事を摂っています。
 

 最近はメディアで、「長生きするために肉を食べよう」ということが専門家によって盛んに言われます。
 「肉を食べよう」というのは、高齢者がたんぱく質不足で筋肉が減って、日常動作がうまく行えなくなったり、寝たきりになったりしないようにという理由からみたいです。
 実際、老人で筋力が少ない人がいるので、そういう人は肉・動物性のたんぱく質を摂った方がいいのでしょう。

 しかし、「健康・長寿のために肉を食べよう」ということは言われても、「野菜・食物繊維を摂ろう」ということはあまりメディアで強調されないと思います。
 野菜を食べたほうがいいのは当たり前だから言われないのかもしれませんが、日本人の野菜摂取量は他の国よりも少なくなっているのに、肉としか言われないことには違和感を覚えます。(これに関して以前「食べ物そりゃないよ2」という記事で書きました)
 「肉がいい」というのはたんぱく質不足の高齢者への提言ですが、あまりに頻繁に言われると、「肉をたくさん食べるのが健康にいい」といういイメージをすべての年代の人に与えてしまうのではないか、と思ってしまいます。
 肉中心の食生活になると、腸内が悪玉菌優位になってさまざまな病気につながりやすくなります。
 腸内の善玉菌を減らさないためには、肉を食べるときにその倍の量の野菜を食べたほうがいい、と言われるので、肉の食べすぎには注意が必要です。



 野菜や果物、海藻など植物性食品には食物繊維の他にも、ビタミンやミネラル、酵素、ファイトケミカルなど多くの栄養が含まれています。
 植物性食品を食べてこういった栄養をたくさん摂ることで健康は保たれます。

 現代の死因のトップはガンです。ガンを防ぎたいというのは多くの人の関心事だと思います。
 前回の記事で、食物繊維を摂って便通をよくすることで腸内の有害物質を排出したり、腸を善玉菌優位にすることでガンになりにくくなる、と言いました。
 食物繊維には、腸内環境を整えてガンを予防する効果がありますが、ファイトケミカルにも抗ガン作用や抗酸化作用があるとされます。
 こういったさまざまな効果が積み重なり、ガンは防がれると思うので、野菜はなるべく摂るほうがいいです。

 外食やコンビニ弁当などには野菜はお飾り程度にしか添えられてないので、食物繊維も他の栄養もあまり摂れません。
 現代、野菜を摂るのは難しいかもしれないですが、なるべく意識したいものです。
 無理して野菜を食べるくらいなら長生きしたくない、なんて考える人もいるかもしれないですが、野菜もいろいろ調理するとおいしいのでぜひ食べてもらいたいな、と思います。



 腸の健康のためには、ヨーグルトや漬け物といった発酵食品もお勧めです。発酵食品は腸に良いとされるビフィズス菌や乳酸菌を多く含んでいます。
 しかし、それらの菌は腸に直接届かなかったり、たくさんの細菌がひしめく腸でしっかり働くとは限らなかったりするそうです。
 その点、食物繊維は不溶性・水溶性ともに腸に良い効果をもたらすので、食物繊維をしっかり摂るほうが、より確実な効果を期待できると思います。
(しかし、下痢の症状がひどい場合は食物繊維全般を、痙攣性便秘の人は不溶性食物繊維を控えたほうがいいそうです)

 見た感じ繊維がなさそうな野菜にも食物繊維は含まれているので、他の栄養素を取るためにもいろいろな野菜を食べる必要があります。
 食物繊維というとゴボウのようなズジばった食べ物をイメージしてしまいますが、腸にいいだろうと、とスジばったものばかりをたくさん食べると、腸で詰まってしまうなんてこともあります。
 不溶性・水溶性に限らず食物繊維が消化器に負担をかけないよう、また腸内細菌にしっかり分解してもらえるように、細かく刻んだり、よく噛んだりすることは大切です。




 食物繊維について前回、今回と書きましたが、通して読んでもらえれば食物繊維の大切さ、そして食物繊維をエサにして腸内細菌が作る短鎖脂肪酸の万能薬ともいえるすごさについて理解してもらえたと思います。
 

 この記事は、「腸内フローラ10の真実」(NHKスペシャル取材班著 主婦と生活社)「100歳まで元気な人は何を食べているか?: 腸内環境を整える「百寿者」の食習慣」(辨野義己著 三笠書房)を参考にして書きました。
 この二冊は今まで知らなかった食物繊維や短鎖脂肪酸についてわかりやすく解説してくれるとても面白い本でした。
 今回の記事でこういったことに関して興味を持った方は是非お読みください。
 食物繊維と短鎖脂肪酸が健康・長寿に欠かせないものであることをより理解できると思います。


 現代、さまざまなことで健康に不安をおぼえる人も多いと思いますが、やはり健康の基本は植物性食品・食物繊維でしょう。
 野菜を増やすのは大変かもしれません。
 しかし、日々の食事で食物繊維を摂るように心掛けるだけですから、それほど難しく考えず、果物や海苔をよく食べるとか、ご飯に雑穀やもち麦を混ぜる、みそ汁に野菜をたくさん入れるなど、いろいろ行えることはあると思います。
 食物繊維を多く摂ることで、悪玉菌優位の人でも腸内環境がかなり速いスピードで変わると言われているので、健康効果は確実に感じられるはずです。


コメント
トラックバック
トラックバックURL
コメントフォーム
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

Author:まやと
努力なしで最大限の成果を得られる健康法を日々探求しています。趣味 野菜料理を作る 音楽を聴く
ツイッター@mudoryoku

最新記事
ブログ村
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ