クリシュナムルティはインド生まれの哲人宗教家です。
彼は1909年14才のとき、神智学協会という宗教団体の指導者に人類を教え導き、救済するための「世界教師」の器として見いだされ、特別に教育されるようになります。
その後、神智学協会のよってクリシュナムルティのために設立された「星の教団」という団体の長になりますが「真理は組織化しえない」として1929年にそれを解散し、以後1986年に91才で亡くなるまで世界中をまわって自らの教えを説き続け。多数の著作を残しました。

彼は人が精神的、社会的、宗教的な束縛や悲しみを脱して真に自由になるために気づき、学び、思考、瞑想、関係、恐怖、愛、死などについて語りました。
彼の有名な言葉で「あなたは世界だ」というのがあります。これは私たちが自身の中に持つ悲しみや、葛藤、暴力、自己中心性などが、そのまま世界に反映されて私たちの前に現出するという意味です。
世界はつきつめると、私と他の人との関係で成り立っているのだから、あなたのありのままの姿が世界を作りだしている。だから、世界を変えるためには自らに変革をもたらす必要があるのですが、そのためにはあなたはいかなる願望や感情、思考を交えず自身を観察しなくてはならないと彼は説きます。
彼の教えは難解ともいわれますが、専門的な用語を使うことなく普通の言葉ですべて語られていて、とても多くの事に気づかせてくれます。
個人的には、彼の著作ほど自我の汚れを感じさせないものはないと思っています。最近は少し読むことから遠ざかっていますが、彼の教えはいつも私の心の中にあります。
いつか彼の教えについて何か書いてみたいと思っています。

そんなクリシュナムルティは日常生活では決して堅苦しい人間ではなく、探偵小説や西部劇を楽しみ、ジョーク好きな一面もあったという事が、彼の料理を作っていたマイケル・クローネンの「キッチン日記」というクリシュナムルティとの日常をつづった本の中に出ています。
その本には彼が実際に話したジョークがいくつか書かれていますが、その中から面白いと思ったものを一つ紹介します。(思い出しながら書くので原文とかなり違ってます)

あるインドの自動車製造会社の社長が死にました。インドには自動車メーカーが少なく、彼の会社の車はよく売れて儲かったのですが、その車は性能が悪くしょっちゅう故障して止まってしまう代物でした。
その彼がいま天国の入り口に来て、門番に中に入れるようにと話しています。
門番「えーと、お名前をお願いします。○○さんですね。いま名簿を調べます。えー、○○さんと―――。あのー、すいません、あなたのお名前がのってないのであなたは天国に入れません。」
社長「何を言っているんだ!私はインドで知らぬものはない名士だぞ!」
門番「生憎ですが、そういった事は天国へ入る条件にはなりません。」
社長「私は毎週日曜日には家族と教会に通って、お祈りを欠かさなかったぞ。」
「そういった誰でもやっている事では天国に入れません。」
「私は社会にたくさん寄付してきたし、学校や教会をいくつも建ててきた。」
「あなたがそういった事をするのは当然です。なにせ労働者から搾り取ったお金なんだから。○○さんそうじゃなく、何か神さまのために少しでも役に立つ事をした覚えはないですか。もしあれば、私も上の者に相談してみる事もできるのですが。どんな些細なことでも思い出してください。何か思い当たる事はないですか?」と門番が尋ねると、しばらく考え社長はあることを思い出しました。
「あったぞ!私の会社の車に乗った人はみんな『オーマイゴッド(なんてこった)』と言う。」

「キッチン日記」はだいぶ前に図書館から借りて読み、このジョークがおかしくて気に入っていたんですが、最近再び借りてきて読み直して驚きました。それはオチのオーマイゴッドの所を完全に思い違いしていたのです。
実際には、新車を買う時にお客が素敵だと感激して「OH MY GOD」と言うとあるではないですか。
自分の中でオチとしてはこっちがいいと、勝手に話を作り変えて覚えていたようです。

クリシュナムルティ・アメリカ財団には膨大な数の彼の原文書、資料、手紙、音声、ビデオテープなどが収蔵、保管されているそうです。
クリシュナムルティの教えは今後、何百年それ以上と価値を持ち続けるものだと思います。
だから、仏陀やキリストに起きたのと同じ事、彼らが本当はどういった教えを説いたのか記録されてない事や、彼らの死後にその教えを継承するとした人達が教団を作り、権力を持つようになったというような事が起きない為にも(彼はこういった事を嫌い弟子も後継者も持たなかった)、このアーカイブはとても大切なものです。
ですから今回の私のブログのように、クリシュナムルティの言葉をねつ造するのはいけない行為かもと思いましたが、「キッチン日記」によると、誰かから聞いて仕入れたジョークを彼が話す、という記述があるので、これに関しては許してもらえると思います。
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